研究課題

火力・原子力発電所の配管減肉メカニズムの解明と予測法に関する研究

火力・原子力発電所や化学プラント等の配管では、流れ加速型腐食 (Flow Accelerated Corrosion: FAC) 、液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement: LDI) 、キャビテーションエロージョンによる配管減肉が配管破損などの事故につながる重要な要因であり、適切な安全管理が求められています。当研究室では、FAC、LDI、キャビテーション現象の物理メカニズムを実験と数値計算により明らかにし、配管減肉の予測法を確立することを目的としています。

エルボを通過する旋回流の可視化
エルボ内の物質移動係数計測装置
エルボ内の流れの可視化装置
エルボ内の表面流れの可視化
気泡追跡による旋回流の可視化
エルボ下流の速度分布

風車翼エロージョンのメカニズムの解明

風力は持続可能なエネルギの一つで、クリーンな自然エネルギ源です。その有効活用のための風力エネルギ開発において、風車翼前縁部のエロージョンが深刻な問題の一つとなっています。その原因は、風車の大型化により、風車翼の先端速度が100m/sを超える高速になることです。この高速回転する風車翼に雨粒が衝突することで大きな衝撃力が発生し風車翼前縁の懐食 (ブレードエロージョン) が発生します。この翼前縁懐食を予防または予測・制御するためには、懐食メカニズムを明らかにし地上試験によりブレードエロージョンを評価する方法が必要となります。そこで、高速液柱を衝突させるパルス噴流式試験装置や高速噴霧流を用いた液滴衝撃エロージョン(Liquid droplet impingement, LDI)の試験装置を開発しています。

パルス噴流式の試験装置
パルス噴流の可視化画像
パルス噴流で生じたアルミ試験片上の壊食痕
LDI試験装置
高速噴霧流の様子と発生する液滴
LDI試験後の金属試験片の様子とSEM画像

遊星式攪拌の混合メカニズムの解明

液体を用いた混合攪拌では、攪拌翼を用いた方法が一般的ですが、攪拌翼を使用せずに容器自身の自転と公転の組み合わせにより混合を促進する遊星式攪拌と呼ばれる方法があります。この遊星式攪拌において、自転・公転により誘起される容器内の流動や混合状態を可視化計測や数値解析により評価し、混合メカニズムの解明を行っています。

遊星式攪拌の模式図
容器内の流れの可視化
歳差率による3次元流れ構造の変化

気液二相音響流による流れの制御

超音波振動はアクチュエータの一つとして様々な工業製品に用いられています。流体に関連した現象には、超音波振動によって一方向に向かう流れが誘起される音響流があります。また、水中で超音波振動を発生させると液面から液滴が分離され霧化する現象もあります。この二つの現象が同時に発生しているものの一つに歯科用のスケーラがあります。冷却用の水が超音波振動により微粒化するとともに、スケーラからは音響流が発生します。このような気液二相状態の流体では、気相単独の場合と比べて強い音響流が生じます。この効果に着目し、超音波振動による気液二相音響流を用いた流れの制御方法について研究しています。

スケーラから生じる音響流と液滴の可視化計測
スケーラから生じる気液二相音響流

キャビテーション噴流による壊食メカニズムに関する研究

水中に高速な水噴流を放出すると気泡群を伴うキャビテーション噴流が発生します。この気泡群が崩壊する際に衝撃波が発生することによって、キャビテーション噴流は強い壊食特性を持っています。この壊食力を材料の洗浄、加工、表面改質に利用するためには、衝撃波の発生や壊食との関係を明らかにする必要があります。本研究では、ハイスピードカメラを用いたシュリーレン撮影、衝撃力測定、壊食実験によりキャビテーション噴流の壊食メカニズムに関する研究を行っています。

キャビテーション噴流の挙動の可視化
キャビテーション崩壊時の衝撃波の可視化
キャビテーションジェットによる懐食

浮力噴流の流動特性および組織構造の解明

浮力を伴う流体の流動現象である浮力噴流は、熱流体の移動を伴う工業分野において重要な現象です。浮力噴流の流動特性や組織構造を明らかにすることを目的とし、ステレオPIVとレーザースキャニング法を組み合わせた速度場の3次元3成分計測やレーザー誘起蛍光法 (Laser Induced Fluorescence: LIF) などの非接触計測法に関する研究を行なっています。

浮力噴流の3次元組織構造の可視化
水平交換流における流れの可視化

火炎のフリッカリングに関する研究

火炎のフリッカリングは、火炎と周囲流体との間に生じる速度せん断層でのケルビン・ヘルムホルツ不安定性に起因して発生する振動現象です。燃焼機械の効率改善のためには、フリッカリングを抑制することが必要です。当研究室では、火炎のフリッカリングに及ぼす周囲流や当量比の影響を明らかにすることを目的として、炎色反応を用いた火炎の可視化計測、温度場計測、複数のカメラによるコンピュータトモグラフィによる3次元計測による研究を行なっています。

フリッカリング火炎の可視化
フリッカリング火炎のシャドウグラフ撮影

小型風車翼の低騒音化に関する研究

風力発電は、再生可能エネルギーを用いたクリーンな発電方法ですが、風車から生じる空力騒音の低減が課題となっています。低騒音な風車翼を実現することを目的として、NACA翼を対象とした風洞実験や,円柱などを対象としたPIV速度場計測、圧力ポアソン方程式を用いた圧力場解析、空力騒音の計測、数値解析といった計測手法の開発を行っています。

オイルスモークによる流れの可視化
物体後流の渦度の可視化