研究課題

火力・原子力発電所の配管減肉メカニズムの解明と予測法に関する研究

火力・原子力発電所や化学プラント等の配管では、流れ加速型腐食 (Flow Accelerated Corrosion: FAC) 、液滴衝撃エロージョン (Liquid Droplet Impingement: LDI) 、キャビテーションエロージョンによる配管減肉が配管破損などの事故につながる重要な要因であり、適切な安全管理が求められています。当研究室では、FAC、LDI、キャビテーション現象の物理メカニズムを実験と数値計算により明らかにし、配管減肉の予測法を確立することを目的としています。


キャビテーション噴流による壊食メカニズムに関する研究

水中に高速な水噴流を放出すると気泡群を伴うキャビテーション噴流が発生します。この気泡群が崩壊する際に衝撃波が発生することによって、キャビテーション噴流は強い壊食特性を持っています。この壊食力を材料の洗浄、加工、表面改質に利用するためには、衝撃波の発生や壊食との関係を明らかにする必要があります。本研究では、ハイスピードカメラを用いたシュリーレン撮影、衝撃力測定、壊食実験によりキャビテーション噴流の壊食メカニズムに関する研究を行っています。

浮力噴流の流動特性および組織構造の解明

浮力を伴う流体の流動現象である浮力噴流は、熱流体の移動を伴う工業分野において重要な現象です。浮力噴流の流動特性や組織構造を明らかにすることを目的とし、ステレオPIVとレーザースキャニング法を組み合わせた速度場の3次元3成分計測やレーザー誘起蛍光法 (Laser Induced Fluorescence: LIF) などの非接触計測法に関する研究を行なっています。


火炎のフリッカリングに関する研究

火炎のフリッカリングは、火炎と周囲流体との間に生じる速度せん断層でのケルビン・ヘルムホルツ不安定性に起因して発生する振動現象です。燃焼機械の効率改善のためには、フリッカリングを抑制することが必要です。当研究室では、火炎のフリッカリングに及ぼす周囲流や当量比の影響を明らかにすることを目的として、炎色反応を用いた火炎の可視化計測、温度場計測、複数のカメラによるコンピュータトモグラフィによる3次元計測による研究を行なっています。

小型風車翼の低騒音化に関する研究

風力発電は、再生可能エネルギーを用いたクリーンな発電方法ですが、風車から生じる空力騒音の低減が課題となっています。低騒音な風車翼を実現することを目的として、NACA翼を対象とした風洞実験や,円柱などを対象としたPIV速度場計測、圧力ポアソン方程式を用いた圧力場解析、空力騒音の計測、数値解析といった計測手法の開発を行っています。


遊星式攪拌の混合メカニズムの解明

液体を用いた混合攪拌では、攪拌翼を用いた方法が一般的ですが、攪拌翼を使用せずに容器自身の自転と公転の組み合わせにより混合を促進する遊星式攪拌と呼ばれる方法があります。この遊星式攪拌において、自転・公転により誘起される容器内の流動や混合状態を可視化計測や数値解析により評価し、混合メカニズムの解明を行っています。